先日読んだ「危険動物との戦い方マニュアル」が、なかなか不穏だったので紹介します。
この本は、切り口はネタっぽいけれど中身は本格派という【「もしも?」の図鑑シリーズ】の1冊です。
著者は、動物学者の今泉忠明先生。
イリオモテヤマネコの生態調査などに携わり、動物に関連した本を何冊も出している先生です。これは期待できそう!
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危険な動物に遭遇したらどうする?
さてこの本、危険動物に遭遇した時にどのように対処したらいいかが書かれています。
スズメバチやセアカゴケグモなど日本でも遭遇しそうなものから、ピラニアやヒョウ、タイガーシャークなど、ワールドワイドに全部で70種類の生物以上を取り上げています。
出典:「もしも?」の図鑑 危険動物との戦い方マニュアル
対処法だけでなく、どの生物も「種目」「体の大きさ」「生息地」「食べ物」「性質」などが書かれていて、図鑑としても大変よくできています。
・・・が、肝心の対処法がかなり不穏です。
オオスズメバチに襲われたら
出典:「もしも?」の図鑑 危険動物との戦い方マニュアル
オオスズメバチに遭遇した時は、動かずにやりすごすことが大切なのだそう。
そして、そのあとにはこんなことが書かれています。
また、1ぴきならたとえさされたとしても、アレルギー体質の人は別にして、死ぬことはないので、まずは冷静になること。
なんだか、さらっとひどいことを書いています。
ちなみに、オオスズメバチの解説はこれで終わっています。
また、オオスズメバチの次に危険度が高いとされるキラービー(アフリカミツバチ)の対処法もなかなか不穏です。
動かずに石になる。死んだふりでもよい。さされてもひたすらたえる。
・・・これはひどい・・・。
アフリカゾウに襲われたら
そのほかの生物に関しても、対処法に疑問符がつくところが目立ちます。
たとえば、アフリカゾウに遭遇した時の対処法がこれ。
出典:「もしも?」の図鑑 危険動物との戦い方マニュアル
シマウマに擬態するです。
その根拠は「人間を敵だと思っているから」。絵を見ると、人間の体が半分ぐらい出ていますが、これでいいようです。
さらにこんなことも書かれています。
しかし、ゾウに会ったとき、すぐにシマウマになるのは難しい。実際には、ツチブタが地中に掘った巣穴にでも飛び込んで、中からふたをするくだいしか生き残る方法はない。
・・・ツチブタの巣穴ってどうやって探すんだろうネ・・・。ちなみにアフリカゾウの解説はここで終わっています。
「そんなのできるかよ!」な対処法がいっぱい
各生物の対処法については、シマウマはさておき、基本的に「実際にそれで助かったケース」や動物の習性をもとに書かれています。
出典:「もしも?」の図鑑 危険動物との戦い方マニュアル
・・・が、「ヒョウに出くわしたら、人間のお面をうしろむきにつけよう」だとか、「ピラニアに襲われたら肉を投げよう」だとか、「タイガーシャークに遭遇したら、ふんどしを海に流そう」など、そんなのできるかよ!という対処法が多いのも、なんとも不穏なところです。
ですが、それ以外は大変にクオリティーが高く、面白い1冊ですよ。
まとめ
今回は「危険動物との戦い方マニュアル」の紹介でした。対処法はつっこみどころが多いですが、図鑑としてよくできているので、存分にたのしめる1冊かと思います。
いろいろな意味で満足度が高い本でした。興味のある方はぜひとも。